「辞めたいのに辞められない」あなたへ──心の声を無視しないで

転職

「もう辞めたい…でも辞めたらどうなるんだろう」
そんな気持ち、何度も心に浮かんでは消えていきませんか?

仕事に行くのがつらくて、朝起きるのも億劫で、
誰かに「大丈夫?」って聞かれたら、それだけで泣いてしまいそうになる。

でも、それでも今日も出勤してる自分がいる。

「辞めたいのに辞められない」──
そんなループに飲み込まれて、出口が見えないまま働き続けている人が、
実はたくさんいるんです。

今回お届けするのは、
そんな“辞めたいけど辞められない”という心の葛藤と、
その中にある「本当の気持ち」に少しずつ気づいていくためのストーリー。

これを読んで、「あ、自分だけじゃなかったんだ」と感じてもらえたら、
そして、少しでも心が軽くなってくれたら嬉しいです🌿

最後まで、ぜひご覧ください。

第1章:「辞めたいのに辞められない」って、いったい何なの?

「もう限界…辞めたい」
そう思ったのに、なぜか今日もいつも通り職場に向かってる。

心も体も悲鳴を上げてるのに、
“辞める”っていう一歩をどうしても踏み出せない──。

これって、いったい何なんだろう?


たとえば朝、目覚ましが鳴った瞬間に「ああ、また会社か…」って気持ちがどっと押し寄せる。
布団から出るのもつらくて、何ならちょっと泣きたくなるような、そんな気分。

でも、それでも起きて、身支度して、電車に乗って、また今日も出勤する。

もしかしたら、自分の気持ちを無視して「社会人だから」とか「生活があるから」とか理由をつけて、
本音にフタをしてるのかもしれない。


「辞めたい」と思う理由は人それぞれだよね。

・上司の理不尽な叱責に耐えられない
・職場の人間関係がストレスでしかない
・このままじゃ何も成長できない気がしてくる
・毎日が同じことの繰り返しで、未来が見えない

──そんな想いが積み重なって、
「もう無理…辞めたい…」って気持ちがあふれてくるのに、
“辞める”という行動にはどうしても移れない。


それはきっと、頭のどこかでわかっているから。

辞めた先に「絶対うまくいく未来」があるわけじゃないことを。
辞めたからといって、すぐに希望通りの仕事に就ける保証なんてないことを。
もし何も見つからなかったら…っていう不安が、心の奥でずっと響いてる。


それに、周りの目も気になる。

「辞めグセがあると思われたらどうしよう」
「ここで辞めたら“逃げ”だと思われるかも」
「転職するにもアピールできるような経験もないし…」

そうやって不安と葛藤が交差して、
気づけば「辞めたいけど辞められない」というループに飲み込まれていく。


だけどね、私たちって“ロボット”じゃないんだよ。
感情があるから、悩むし、迷うし、立ち止まっちゃうこともある。

辞めたいのに辞められない。
その気持ちは“弱さ”じゃなくて、“真剣に考えてる証拠”なんだよ。


さぁ、ここから少しずつ一緒に見ていこう。
どうして辞められないのか、どうすればこのモヤモヤを抜け出せるのか──
きっと見えてくるものがあるはずだよ🌿

第2章:「辞めたい」は甘え?それとも本音?

仕事を辞めたいと思うたびに、
「こんなことで弱音を吐くなんて、自分はダメなのかもしれない」
そうやって、自分を責めてしまう人って少なくありません。

「もっと頑張ってる人だっている」
「甘えてるだけかも…」
「こんなことで辞めたら、次の職場でも同じことの繰り返しかも」

そんな“内なる声”が、心の中でこだまして、
本当は限界に近いのに、それでも今日も出勤してしまう。

でも──
「辞めたい」という気持ちは、決して“甘え”なんかじゃない。
むしろ、それはあなたの心からの**“SOS”**なのかもしれません。

例えば、毎日息苦しい思いをしているとか、
職場の人間関係がギスギスしていて、笑顔でいられないとか。
自分でも気づかないうちに、心がすり減ってしまっている状態って、あるんです。

それなのに、「みんなも頑張ってるんだから」「こんなことで辞めちゃいけない」と、
我慢を重ねるうちに、自分の本音を置き去りにしてしまう…。

あなたが今感じている「辞めたい」という気持ちは、
もしかしたら“出口を求めている自分”の、精一杯のサインなのかもしれません。

そんなふうに考えてみるだけで、
少し、自分に優しくなれる気がしませんか?

「甘え」と決めつけずに、
まずはその気持ちに耳を傾けてみること。
それが、心を守る第一歩なのです🍀

第3章:「まさか、あの人が“辞めた”なんて」──再会がくれた静かな衝撃

ある日のこと。
学生時代の同期と、ふとしたきっかけで再会した。お互い歳を重ね、昔のように毎日顔を合わせる仲ではなくなっていたけれど、その日だけは、時間が巻き戻ったような気がして懐かしかった。

彼女は学生時代から、ずば抜けた努力家だった。
成績もトップクラスで、就職先も大手の有名企業。まさに、”勝ち組”と呼ばれる人生を歩んでいた。あの頃の自分は、彼女のようになりたくて必死に背中を追いかけていたのを覚えている。

──「ねぇ、実は私、会社辞めたんだよね。」

そう告げられた瞬間、頭の中が一瞬だけ真っ白になった。
え?あんなに順調だったのに?
彼女が?辞めた?どうして?何があったの?

質問は山ほどあったのに、不思議と口が開かなかった。

「今はね、全然違うことしてるの。全然違う場所で、全然違う人たちと。大変なこともあるけど…でも、不思議と今のほうが“私らしく”いられるんだよね。」

彼女の目は、どこか澄んでいた。
会社を辞めたことに、後悔も、迷いも、なさそうだった。
むしろ、しがらみや虚勢を脱ぎ捨てて、ようやく本当の自分に戻れたような、そんな穏やかさすら感じた。

それを見て、思わず自分の胸にも手を当ててしまった。
今の私は、あんな風に“自分らしく”生きているだろうか?
辞めたいと思うことはあっても、変わる勇気なんて、持てているだろうか?

この再会は、ただの思い出話ではなかった。
心のどこかにずっと刺さっていた“何か”を、彼女の言葉がそっと引き抜いていったような気がした。

第4章:辞めたあとの“自由”を夢見て──それって現実逃避?

「今すぐ辞めたい!」
「自由になりたい!」
仕事のストレスが限界に近づくと、
ふと、そんな衝動が湧き上がってきます。

──朝ゆっくり起きて
──好きな場所で働いて
──人間関係に悩まされることもなくて

SNSやネット記事で見かける、キラキラした“自由な働き方”。
フリーランス、リモートワーク、ノマド生活、田舎暮らし…
まるで、そこには夢のような世界が広がっているように感じます。

でも、ちょっと待って。

その“理想の生活”、本当にあなたが求めているものでしょうか?
あるいは、今の現実から逃げたいという気持ちが
見せている“蜃気楼”なのかもしれません。

もちろん、理想の働き方を追いかけることは悪いことじゃない。
でも、疲れ果てた心で「現実から逃げるために」夢を選ぶと、
あとから「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあります。

今の職場を辞めたあと、本当にやりたいことは何か?
どんな環境で、どんな自分でいたいのか?
それを少しずつでも具体的に思い描けるようになって初めて、
“次の一歩”が現実的なものとして見えてきます。

「辞めたい」と感じたとき、
つい極端に“自由”を夢見てしまうのは、
それだけ今が苦しい証拠。
だけど、その夢の奥にある“本当の願い”を見つけることができれば、
次の道はきっとブレずに歩けるはずです✨

第5章:辞めたいと思っても、踏み切れない“あの理由”

「辞めたい…けど、辞められない」
そう感じるとき、心の中にはいくつもの“理由”が渦巻いています。

──次の仕事が見つかるか不安
──今より条件が悪くなるかもしれない
──辞めたあとの生活費はどうしよう
──家族や周囲の反応が気になる

実際、「辞めたい」と思ったことのある人の多くが、
この“現実的な壁”にぶつかって、一歩を踏み出せずにいます。
たとえ今の仕事が辛くても、
「今よりもっと悪くなったらどうしよう…」という恐れのほうが勝ってしまうんです。

それに、「こんな理由で辞めていいの?」と
自分の気持ちに自信が持てない人も多いです。

たとえば──
・職場の人間関係が合わない
・仕事の内容が好きになれない
・毎朝会社に行くのが苦痛

こうした“理由”を、「わがままだ」と思ってしまう。
でも、そんなことないんです。

人間関係や心の健康は、
仕事を続けるうえでとても大切な要素です。
それを無視してまで我慢を続けると、
心も体もすり減っていくだけ。

「辞めたい」と感じた気持ちは、
あなたの中の“サイン”です。
それを否定する必要はまったくありません。

辞める・辞めないの選択に入る前に、
まずはそのサインにちゃんと目を向けて、
「私は今、何に悩んでいて、どうなりたいのか?」を
見つめることが、次の行動への第一歩になるんです🌱

第6章:誰かの「正解」にすがりたくなるとき

「どうしたらいいかわからない」
「辞めるべき? もう少し我慢すべき?」

そんなとき、つい探しに行ってしまうのが
“誰かがくれた答え”です。

SNS、YouTube、転職ブログ──
同じように悩んだ誰かの体験談や成功談を
必死になって検索してしまうこと、ありませんか?

「◯歳で転職成功しました」
「退職後に人生が好転した話」
「辞めなきゃよかった、後悔した話」

いろんなストーリーがあふれている中で、
「この人と自分は同じ状況かも」って思えば、
その人の行動が“自分の正解”に見えてくる。

でもね──
他人の答えは、あなたの答えじゃない。

その人にはその人の背景があるし、
状況も、性格も、置かれている環境も違う。

だけど、今の自分が不安でいっぱいだと、
「誰かに決めてほしい」って思ってしまうんだよね。
自分の判断に自信が持てないから、
誰かの“言葉”や“成功”を指標にしたくなる。

でも本当は、
その探し続けている時間も、
決断を委ねようとしている自分も──
「自分の中の声」を聞きたがっている証拠なんだと思う。

人は、不安だからこそ“外”を見たくなる。
でも、最後に「どうするか」を決められるのは、
あなただけなんだよね。

あなたの人生の選択肢は、
あなたの手の中にしかないんだ。

第7章:思い描いていたのは、こんな毎日だったっけ?

転職すれば、きっともっと自由になれると思っていた。
人間関係も今より良くなると思っていたし、仕事内容も自分に合ったものを選べるはずだった。
――でも、現実は、思っていたようにはいかなかった。

もちろん、今の職場に不満がないわけじゃない。
けれど、どこかの世界に「自分にピッタリの場所」があると思っていたし、それを探しに行くことに正当性すら感じていた。

でもある日、ふと気づく。

「あれ?もし転職しても、また同じような不満を持つことになるんじゃないかな?」

朝、満員電車に揺られながら、自分が思い描いた理想の働き方が、どこにも見当たらないことに気づく。
SNSで見かけた“ゆるくて、自由な働き方”に惹かれたけれど、それは実態のない蜃気楼のようにも思えてくる。

転職しても、完璧な職場なんてきっと存在しない。
「ここがダメだから辞めたい」と思っていたけれど、「じゃあ、どこなら満足できるの?」と問われると、うまく答えられない自分がいる。

そんな風に、理想を求めていたつもりが、いつのまにか「どこにも満足できない自分」に気づいてしまう。

自分が本当に欲しかったのは、
“転職”という結果ではなく、“安心して働ける場所”や“誰かに必要とされている実感”だったのかもしれない。

第8章:「仕事を変える」だけで、すべてが変わるわけじゃない

「今の職場が嫌だから辞めたい」
――そう思う気持ちは、決して間違っていない。
けれど、いま抱えているモヤモヤや不満が、すべて“職場のせい”とは限らない。

例えば、上司との相性、通勤時間の長さ、業務内容の負担…。
確かに、それらが積み重なってストレスになるのはよくあること。
だけど、それを解消するために転職をしても、結局また同じような問題にぶつかる可能性がある。

大事なのは、「場所を変えること」じゃなくて、「自分の中の軸」を見つめ直すことかもしれない。

「自分がどんな働き方をしたいのか」
「どんなことにストレスを感じ、逆に何にやりがいを感じるのか」

そうした“自分のクセ”や“心の揺れ”を知らないまま環境を変えても、
どこに行ってもモヤモヤしたまま、また「ここも違った…」と感じてしまう。

逆に、自分の中で何が大切かが見えてくると、不思議と「今の環境でもう少し頑張ってみようかな」と思える瞬間が増えてくる。
大きく環境を変える前に、まずは自分自身の心の中を整理してみる。
それだけで、世界の見え方が少し変わることもある。

「何かを変えたい」と思ったときこそ、
「本当に変えたいのはどこなのか?」を立ち止まって考えてみる価値があるのかもしれない。

第9章:「人がどう思うか」より「自分がどう感じるか」

転職を考えるとき、
ふと誰かの目が気になってしまうことがある。

「今の職場を辞めたら、我慢が足りないと思われるかな」
「もっと条件のいい会社に行かなきゃ、負けたことになる気がする」
「転職して年収が下がったら、親に何か言われるかも…」

こうした“他人の基準”が、知らず知らずのうちに心に重くのしかかってくる。
でも、その基準で自分の未来を選んでも、結局どこかで息が詰まってしまう。

誰かの評価のために働く人生は、いつも「正解探し」のようなものだ。
正解は他人が決めるものじゃないのに、
「これで合ってる?」「間違ってない?」と不安ばかりがついてくる。

それよりも、「私はこれが心地いい」と思える選択をしてみる。
「こっちの方が、無理せず笑えてるかも」
そんな自分の“感覚”を大事にしてみる。

たとえ周りの人が「もったいない」「それで大丈夫?」と言ったとしても、
その人たちは、あなたの人生を代わりに生きてくれるわけじゃない。

自分の人生は、自分で責任を持って選んでいい。
その選択がたとえ遠回りに見えても、自分の足で踏みしめた道は、ちゃんと意味のある道になる。

「どう思われるか」ではなく、「どう在りたいか」
その問いを、自分の中に置いてみるだけで、進む方向が少しずつクリアになっていく。

第10章:環境を変えれば、自分も変われる…かもしれないけど

「環境を変えれば、何かが変わるかもしれない」
そう思って、転職を考える人は多い。
新しい職場、新しい人間関係、新しい仕事──
それはまるで、自分を一新できる“リセットボタン”のようにも思える。

でも実は、どんなに環境が変わっても、
自分の中にある「クセ」や「感じ方」は、そのままついてくる。

たとえば、今の職場で「気を遣いすぎて疲れる」という悩みがあったとする。
それはもしかすると、その会社の文化や上司との相性だけでなく、
自分が「嫌われないように」「迷惑をかけないように」と、
過剰に気を配ってしまうクセに原因があるのかもしれない。

転職をして、環境が少しラクになっても、
同じような不安や戸惑いを感じる瞬間がまた訪れる。
「私って、どこに行ってもこうなっちゃうのかな…?」
そうやって自信をなくしてしまう人もいる。

だからといって、環境を変える意味がないわけじゃない。
むしろ、環境が変わることで初めて気づける“自分のクセ”もあるし、
「ここなら変われるかも」と感じられる場所と出会えることもある。

大事なのは、“どこに行けば正解か”ではなくて、
“どんな自分でいたいか”を自覚しておくこと。

転職は、ただの逃げ道じゃなくて、
自分の未来と向き合うための選択肢のひとつ。
そこに自分なりの目的や希望があれば、
新しい環境はきっと、ただの「場所」以上の意味を持ってくれる。

第11章:それでも、今日をやりきるしかない私へ

「辞めたい」
「でも辞められない」
そんな気持ちのはざまで、今日も時間は過ぎていく。

誰にも言えない胸の内を抱えて、
職場の雑音をやりすごして、
笑顔の仮面をつけて、席に座る──

本当は逃げ出したい。
でも、それができない理由が、ちゃんとある。
お金のこと、家族のこと、履歴書のこと、次の仕事のこと……
「やめたあと」の現実が、重くのしかかってくる。

それでも、やりきるしかない。
「今日だけは頑張ろう」と、毎日自分に言い聞かせながら、
ギリギリのところで踏ん張っている人たちが、世の中にはたくさんいる。

そして、そんな日々を過ごしているあなたに、
わたしは心から伝えたい。

「すごいね」「えらいよ」って。
誰かに褒められることもなく、ただ黙々と仕事をこなしていること。
それ自体が、とても価値のあることなんだって。

人は、いきなり人生を変えることはできない。
でも、「今日をどう生きるか」を選ぶことはできる。

今すぐ辞めることができなくても、
「辞めたいって思ってる自分」を否定しなくていい。
その感情は、ちゃんとあなたのSOSなんだから。

だからまずは、今日をやりきった自分に、
小さな「おつかれさま」を。
自分を責めるのではなく、
自分をねぎらってあげてほしい。

そして、明日もまた、ほんの少しでいい。
“未来のための準備”を、あなたのペースで進めていけたら──
きっと、見える景色も、変わっていくから。

第12章:同窓会で再会した、かつての友人──私はと違う道を歩む彼女が、眩しく見えた夜

数年ぶりの同窓会だった。
かつてのクラスメイトたちが、懐かしさとともに笑い合い、思い出話に花を咲かせる。

「お久しぶり!元気だった?」

あの頃と変わらない声色で声をかけてくれたのは、大学時代によく一緒にランチをしていた友人だった。
卒業後、彼女とは自然と疎遠になってしまっていたけれど、あの夜、再び向き合うことになった。

彼女は今、全く別の業界で働いているという。
有名企業でもなければ、聞いたことのないようなベンチャー企業。
だけどその瞳は、とても澄んでいた。やりがいがあると、目を輝かせて語っていた。

「最初はね、不安もあったよ。でも、“学歴”とか“安定”とかよりも、
“自分が納得できる仕事”を選びたかったの。やってみないと分かんないじゃん?」

その言葉が、胸の奥にすっと入り込んできた。

私はずっと、「ここを辞めたらダメ」だと思っていた。
肩書きや会社の規模、社会的なイメージ──そうした“正しさ”に守られるように、そこにしがみついてきた。

でも、彼女はそんな“正しさ”を横目に、
まるで別のルートを自分の意志で切り拓いてきたんだ。

ふと、彼女にこんなことを聞いてみた。

「後悔してない?もっと有名なところに行ってたらって、思わなかった?」

すると彼女は、笑いながら首を振った。

「ないよ。だって、いまが好きだもん。うまく言えないけど、“今の自分”をちゃんと使えてる感じがするの。苦労もあるけど、あの頃よりずっと自然に笑えてる」

……その一言が、心に残った。

私は、どうだろう。
“自分をちゃんと使えてる”って、言えるだろうか?

心が静かに、でも確かに揺れた。
あの夜からずっと、何かが私の中で変わりはじめていた。

第13章:あの日の夜の「飲み会の帰り道」──ほんの一言が、なぜか心に残っていて

「辞めようかな」ということばを言い出せるまでに、どれだけ時間がかかっただろう。 その日、飲み会の帰り道で、同期の田中に言ってみたんだ。

「ねぇ…今の仕事、けっこう疲れるよね」

それは、ほんのりしたままの言葉でしかなくて、直接に「辞めたい」と言えたわけじゃない。 ただ、だれかに「わかるよ」って言ってほしかっただけなのかもしれない。

だけど、田中はすぐに返した。

「ありがちだよね。でも、そこで辞めちゃったらさ、それって本当に欲しかったこと?」

え? と思った。 こんな返事がくるなんて予想もしてなかったから。

この言葉が、なぜだかずっと心に残っている。

実はその後、田中も別の90%、私と同じような悩みを抱えていたことを知った。 だからこそ、その言葉には、経験から来る重みがあったんだと思う。

「辞める」ってことを、わたしたちはすごく大げさに捉えがちだけど、 本当は「やめたあと」のことこそ、ずっと考えておかなきゃいけないのかも。

そんなことを、そっと気づかせてくれた一言だった。

あの夜の「ありがちだよね」から始まる会話が、私の中でずっと生きている。 それは、ただの思い出ではなくて、今も続く自分の問いへの手がかりになっているような、大切な「ひっかかり」なんだと思う。

第14章:本当はわかってる──“でも”で縛られる私

「でもさ、結局、辞めたところでどうなるの?」
「転職して、もっとひどい環境だったら?」
「年齢的にも、もうチャレンジなんてできないかも…」

そんな言葉たちが、頭の中をぐるぐる回る。


あの同窓会の夜から、何度も自分に問いかけてきた。
「自分は、このままでいいのか」
「本当は、どうしたいのか」

でも、答えはいつも、“でも”で始まってしまう。


「今より悪くなったらどうしよう」
「せっかく積み上げてきたのに、無駄になるかも」
「家族に何て言われるだろう」

そんな“もしも”や“周りの目”が、
本音にたどり着こうとする僕の足を、何度も止めた。


たぶん、辞めたいという気持ちは、
とっくの昔に本物になっていた。

だけど、それを口に出すことすら、どこか“悪いこと”のように思えていた。
逃げるとか、甘えてるとか、そう思われたくない気持ちが、自分を縛っていた。


「正しさ」を求めすぎて、
「本当の気持ち」が置き去りになっていた。


それでも、心の奥では知っている。
今のままでは、きっと後悔することになる。
本当は──何かを変えたいって、ずっと思っていることを。


だから、今こそ、そっと問い直す。
「どうすれば、納得できる選択になるのか」
「自分が笑っていられる働き方って、なんだろう」って。

第15章:自分でつくった“正しさ”の鏡をのぞき込んで

「辞めるべきじゃない」
「逃げるような形にはしたくない」
「もう少し頑張ってみよう」

そんな言葉を、自分自身に何度となく言い聞かせてきた。
気づけば、胸の奥に“正しさ”の鏡ができあがっていて、
そこに映る自分の姿ばかりを気にしていた気がする。

本当は、もっとラクになりたかったのに。
でも、“正しさ”のほうが安心だった。
それに従っている限り、誰にも責められないような気がしてたから。

だけど、思うんだ。
その“正しさ”って、本当に私だけのものだったのかな?
誰かの期待や、社会の目や、「こうあるべき」に合わせて、
自分をどんどん削ってきたんじゃないかって。

「辞めたい」と思ったとき、
最初に立ちはだかったのは、仕事でも上司でもなく、
“ちゃんとしていたい”と願う、自分自身だった。

——あの日、飲み会の帰り道で田中に言われた
「それって本当に欲しかったこと?」という言葉が、
今になって、じわじわと胸に沁みてくる。

私は、誰に褒められるでもなく、
“正しく”あるために働いてきた。
だけど、これからは——
少しずつでも、自分の本音に近づいていけたらいいなと思っている。

まだ、辞めてはいない。
でも、「辞めてもいい」と思えるだけで、
少しだけ、呼吸がしやすくなった。

そして今日も、私はここにいる。
ちゃんと揺れながらも、生きている。

まとめ:辞めても辞めなくても、自分を責めないで

この記事を読んでくれたあなたは、
きっと今、心のどこかで「辞めたい」と思っている。
でも同時に、「それでも…」と立ち止まっている自分もいる。

辞めるか、辞めないか。
その答えは、簡単には出ないよね。
だからこそ、今日も悩みながら、
それでも日々を過ごしている自分を、責めないでほしい。

人と比べなくていい。
無理に前向きにならなくていい。
「辞めたい」と思うのは、弱さじゃないから。

気持ちの波があるのは、当然のこと。
理想と現実のギャップに揺れる日があっても、それでいい。
大事なのは、自分の声にちゃんと耳を傾けること。
そして、少しずつでいいから、
自分の未来のために動き出すこと。

今日もがんばったね。
読んでくれて、ありがとう。
あなたの心が、少しでも軽くなりますように──

コメント

タイトルとURLをコピーしました